ここが、 「もうすぐ来ますよ。」 「ん〜?知ってるよぉ?」 「知ってるなら、もう良いでしょう?」 「でも、まだ足音聞こえないよ?」 「ギリギリまでってことですか・・・」 ロイドは不気味な笑いを浮かべた。 ”来る”というのは特派の大事なデヴァイサー、スザクのこと。 もう学校の終わる時間だ。 今日は生徒会は寄らずに、ここへ来ると言っていた。 なぜ、スザクが来ることを心配しているのか。 ロイドの頭がセシルの太股にのっているからだ。 つまり、膝枕。 セシルの困った顔に目もくれず、ロイドは資料らしき紙を眺めていた。 「スザクくんが見たらびっくりしますよ。」 「あはは。びっくりしてたらいいじゃない。」 「・・・ロイドさん・・・・!」 いつもと声色が変わったセシルに焦るロイド。 「あ、ああっ!ごめんなさい!!分かってます分かってます!!!!」 「こういうのが分かったら、スザクくんが居づらくなるし、それに・・・・」 「僕らはグンタイだもんねぇ〜。」 レンアイなんてものは、グンタイには似合わないのだ。 はっきり言ってしまえば、不必要なもの。 周りに知られれば、それなりに嫌な思いをするだろう。 ただでさえ、特派はよく思われていないのだから。 「君と出会ったのがグンタイじゃなかったらなぁ〜・・・」 「え?」 「ん?独り言ぉ〜。」 にやっと笑って、また資料に目を戻す。 「随分大きい独り言ですね?」 「ふふふ。」 セシルもつられて笑った時。 ロイドは突然、起き上がり、自分の場所へ戻った。 そして、タイミング良くドアが開く。 「遅くなりました!」 威勢の良いスザクの声が響き、息を切らした姿があった。 「おぉ〜つかれさまぁ〜。」 ロイドは何事もなかったようにスザクに声をかける。 セシルは、ロイドのコレに関する運動神経と勘の良さに驚くばかりだった。 むしろ、呆れるくらいだった。 そして、今回も逃れられたことに安堵した。 さっきのロイドの言葉を思い出す。 叶わぬ願いを呟いてみた。 ここが、グンタイじゃなければいいのに、と。
「あれ?ロイドさん、寝癖が・・・」 交際中だったら。 |